その他の獣化作品 No.04

馬車と斧 前編

作者:DarkStar

ここは 私達の住むところとは 少し違った世界。

モンスターと呼ばれる怪物が暴れ回り 銃火器の発達していないこの世界の人々は己が力と武具 そして神の加護を受けた法術使ってモンスターに対抗していた。

これは そんな世界で暮らす者達の物語。

巨大な昆虫のような形をしたモンスターに鎧姿の女が立ちはだかる。

たあありやああああ

女戦士が高らかに 叫ぶと

ザシュッ!!!!

グオォォォォォ

何本かある 腕のうち二本を切り落とされ 体液を撒き散らしながら うなり声を上げるモンスター

さあ 止め!!!!

ザシュッ ズバーーーン!!!

女戦士の振り上げた斧がモンスターの体を真っ二つに切り裂く。

ズシーーーーーン!!!!

断末魔をあげたモンスターの巨体が倒れる。戦闘を終えた女戦士に 大きな十字架の付いた服を着た女性が近付いてくる。

ジェシカ 怪我はありませんか?

大丈夫 このくらいへっちゃらだよ

そうですか 次の村までもう少しですから 頑張りましょう

うん

戦士の名は ジェシカ 僧侶の名は マーニャ二人は 同じ村を故郷とする幼馴染だ。

モンスターの徘徊するこのご時世に 女の二人旅だが ジェシカの戦士の力と マーシャの治療法術によって 順風満帆とまでは言えないが それでも 大きな問題もなくやってこれた。

ふー これでやっと ベットで寝られる ジェシカが 伸びをしながら 相方に話しかけると

ここの所 野宿ばかりでしたからね。わたくしも 暖かいシャワーが浴びたいですわ。さすがにもう この時期の川の水は マーニャも昨日までの生活を思い出す。

二人が感慨にふけっていると 森を抜け その目には 街の姿が飛び込んでくる。

ええー!! ちょっと おじさん。高いよー 宿屋の親父に向かって ジェシカが騒ぐ

とはいってもねえ お嬢さん 今の時期 ここいらは いつもこんな値段だよ

どうして こんなに高いのですか? と今度は マーシャが聞くと

いやあ 今の時期 ここいらでは まあ 一種の武術大会ってのがあってね。何処の宿も 剣士や 戦士でいっぱいでなんだよ。うちでも 相部屋をお願いしてるんだけどね。悪いけど お嬢さんたち 2 人を男どものいる部屋と一緒ってわけには

なるほど 彼女達のために部屋を割りさ振るほどの余裕は どうやらこの宿にはないようだ。

参りましたわね マーシャが考えこみながら歩いていると

マーシャどうするこれから。あたしさあ お腹すいてきたよ

とまるで 子供のような声を出す ジェシカに。

ふふ 仕方ないですね。先に食事にしましょう

二人は 近くの食堂に足を踏み入れた。

あたしは グリーンサラダと トマトとレタスのサラダ 大根のサラダと 白菜のサラダを各 5 つずつ

わたくしは シーザーサラダと マカロニサラダ ポテトサラダと春雨サラダを各 4 つずつ。お願いしますわ

と二人はサラダばかり注文しているしかも 量も半端ではない。女戦士はともかくとして シスターがこんなに食べられるのかと心配になった店員は

あのー うちのサラダは 全部あのサイズなんですが 本当によろしいんですか?

と斜め前のテーブルに サラダが山々と盛られている大皿を差す。

ええ アレでは 足りませんので わたくしは 4 つお願いしているのですけれど と笑顔でシスターに言われ

店員は かしこまりました。ですが 当店の自慢は 馬刺しとステーキなんですが

というと ジェシカとマーシャ 顔を真っ赤にして

いりません ときっぱりと断られるが ここで引いたら 店長にどやされるのか

ですが ここいらは 牧畜がさかんで いい馬と 牛を

と店員が言おうとすると 2 人は じろりと店員をにらみ。

かしこまりました。ご注文は以上ですね。少々お待ちくださいませ と一目散に厨房の方へ掛けていった。

あんなに 俊敏で かしこい馬を とマーシャが あんなに 強くて逞しい牛を と今度は ジェシカが言うと 食べるなんて 考えられ(ない)ませんわ と口を揃えて言う。

しばらくして テーブルには 山盛りのサラダがくる。

ジェシカは がつがつと サラダを掻き込むマーシャの方も 一見優雅に見えるが その手の動きは尋常ではなかった。

結局 二人とも わずか数分で それぞれ 10数人分もの量を食べきってしまった。

ふー 食べた 食べた

ええ おいしかったですわ

さて 宿探さないと ん。これ なんだ 二人のテーブルのメニューの裏に張りついていたチラシが ジェシカの目に留まり

それ 先ほど宿主のおっしゃっていた 武術大会の事ではありませんの マーシャが言うと それを手に取るジェシカ

へ~ 変わっているな これ チラシを読んだジェシカが そう思うのも無理はない。

この武術大会の予選はレースによって決められる。

馬に乗って ゴールを目指し 正午までにゴールにたどりついたものが その後から始まる武術大会にエントリーされるという物だ。なるほど 馬や牛が自慢の町ならではの大会であると言えるだろう。

この辺りは 荒地が多く 道も入り組んでいる。馬術は元より すぐれた方向感覚 そして いい馬がいなくては とても時間内にたどり着く事はできない。

ねえ マーシャ 優勝は 賞金と馬車一台だって!!

屋根付きの馬車のイラストを見ながら ジェシカが 目を輝かせる。

どうやら 行商人がキャラバンで使うようなきちんとした荷馬車が景品のようだ。だが 馬車と聞いて なぜか渋い顔をするマーシャ。

そんなもの どうするんですの?ちょ ちょっとまって下さい わたくし そんなの轢いて 旅なんて

ええー いいじゃん。あたし楽できるし 二人して寝袋生活しなくても 屋根のある所にふとんで寝られるんだよ

そう 屋根付き馬車があれば 野宿も今までよりは苦にならない。

ここの所 食費にほとんどの金を使っている二人には この賞金と馬車はとても魅力的だった。

わかりました。でも ジェシカも 轢いてくださいよ

もちろん。じゃあ とりあえず予選頑張ってね。シスター

頑張りますわ

試合当日。

結局 昨日は宿に止まれず 優勝の夢を見ながら 結局野宿する羽目になった。

さあ これで 寝袋生活ともおさらば さあ マーシャ お願いね

わかりました あきらめたように 溜息を付くと マーシャは 十字架の付いた僧服を脱ぐと 下に来ていた薄手の服も脱いでいく。

森の中とはいえ 下手をすれば だれか人が来るかもしれないという所で マーシャは次々に自分の服を脱ぐ。

全裸になったマーシャが 両手を地面に付くと その手は 黒くなりながら 蹄となり 白い肌には 真っ白な毛が生える。女性らしい 大きな胸とお尻は 筋肉質に変わり 細いウエストがどんどん膨らんでいく。

それにともない マーシャの鼻と口元が細く伸びながら 下のほうへ目は 大きくなりながら 左右に離れてく。

マーシャの鼻の穴が広がり ふー ふー と鼻息を荒くしていると 体の後ろの方では 房状の尻尾がゆれ

ブルルル!!!ヒヒーーーーーン!!!! と嘶き一つ マーシャは一頭の白馬へと姿を変えていた。

そう彼女達は 人ではない。獣人と呼ばれる 人の姿に化けた獣達だ。

人にみつかれば モンスターと同様に扱われる彼らは 人に隠れ住むように村を作り その中で静かに暮らしていた。

しかし ジェシカと マーシャはその余りに退屈な生活にうんざりし 二人して 村を飛び出したのだ。

馬に戻ったマーシャに待ち構えていたジェシカが 鞍をつけ その上に跨る。

うん。よし じゃあ出発

ヒヒーーーーン!!! 重い。これで走るのは 確かにきついですわ

それもそのはず ジェシカは いつもの武器である斧と 自分の鎧を身にまとっている。

この大会のルールでは 戦士は レースの際に 本線で戦う装備を全て 身に着けなくてはならない。

レースの時もっていなかった武器の使用は一切禁止されている。

ゆえに この大会は 予選で優位にするために武具を減らすかもしくは 正午ぎりぎりを狙って 最大の装備を馬に乗せて走るかそういった駆け引きも勝負の分かれ目となっている。

各個人の力量と 馬の力 そして 知性の総合力が問われるのだ。

よーい。スターーーーート!!!!

と言う合図と共に レースがスタートする。スタート地点の混雑から 出遅れてしまったマーシャと ジェシカ。

すると マーシャは 先を行く集団のルートを逸れて走っていってしまう。

どうするの?。マーシャ こっち 森だよ

大丈夫 ここら辺は モンスターもおとなしいですし デコボコの山道で体力を使うよりも こっちの方が 有利のはずですわ

他の参加者とは違い ここの進路は馬が決める。おそらく 全参加者中で 人と馬の立場が逆転しているのはおそらく ここだけだろう。

ジェシカの心配をよそに マーシャはすばらしい速さで 森を抜けていく。

スタートの混雑で 出遅れてしまったが この分なら なんとか正午には 間に合いそうだ。

森を抜け ゴールの高台が見えてくる中 重装備の戦士達が 自分の馬に向かって騒いでいる。

おい なんだ 後もうちょっとだろ!!

走れ 走らんか

と鞭を入れている。

彼らは馬のペースや 体力などを考えず けわしい道を無理に走らせたため 馬がここで力尽きてしまったのだ。

ゴールの高台は 一見ゆるやかな道に見えるが 実は以外に 勾配のきつい上り坂なのだ。

ここのために少しでも 体力を残しておかないと 如何に馬とて 倒れてしまう。

そんな戦士たちを尻目に マーシャは悠々と駆けていく。馬の気持ちのわからない人間なんて わたくし達の敵ではありませんわ

とマーシャが横目で見ていると

ピシャン!!!

ヒヒーーーーーン 痛い

と馬のしりを打つ戦士。

あの仔 あんなに 叩かれて とマーシャが思いながら その横を走り抜けていく。

ピシャッ!! ピシャン!!

ヒヒン ヒヒン ヒヒーーーーーン 痛い 痛い。痛いです。ご主人様

通り過ぎてからも 馬の悲鳴は マーシャの耳に届いてくる。

ヒン ヒン ヒヒーーーーーン 痛い 痛いの。もう いいぃ いいのぉ

なんだ こいつ 鳴いてるばっかで走りやしねぇ

ピシャッ!! ピシャン!!

ブルヒヒン ヒン ヒヒーーーーーン!!!! ああん ご主人様 もっと。もっと打って もっと強くぶってぇ!!!

ピシャン!! ピシャン!!!

ヒン ヒン ヒヒーーーーーン もっとぉ もっとぉ もっとおお

戦士に叩かれ喘ぐ雌馬 だがその声は 人間の戦士には 届く事はない。

あの仔 うらやましい そんな マーシャの様子を感じ取ったジェシカは

マーシャ。あの仔がうらやましいんだあ さすがにジェシカにも 馬の言葉はわからなかったが

やたらに後ろを気にするマーシャの様子に ジェシカが胸元から 短い鞭を取り出すと力いっぱい。マーシャの尻を引っぱたく。

ヒヒーーーーーン!!! いたーーーーーい

と大きな鳴き声を上げ マーシャが駆け出す。

はは もっと速くしないと もっときついのやるよ!!!

ピシャーーン!!!

ヒヒーーン ヒン ヒン ヒヒーーーン!! やめて ジェシカ そんなにされたら  わたくし わたくしぃぃ

ピシャーーン!!!

ヒヒン ヒヒン ヒヒーン だめ わたくしは シスターなのに そんな はしたない事は

それ もういっぱつ

ピシャーーン!!!

ヒヒン ヒヒン ヒヒーーーーーン!!!! ああん お姉さまぁ マーシャ もっと もっと速く走りますから だから だからもっと もっとぶってえぇ。ぶってほしいのぉ

ついに口から涎を垂らし興奮したマーシャの姿に

はは 速い速い。それいけ!! マーシャ!!!

もはや 勝負を忘れて マーシャの尻に鞭を入れるジェシカ。

ピシャーーン!!!

ヒヒーーーーン いい いいのおおおおお

白馬に乗った戦士がすごい速さで丘を駆け上がっていく。

武術大会予選のゴールはもう近い。