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獣化作品 No.11

代償

作者 DarkStar

バタン!!!

車から飛び降りるように出てきた少女。

彼女の剣幕に少し怯えたような
運転手の男が慌てて窓を開ける。

「ちょ、ちょっと、よ、陽子ちゃん!!
 い、一体どうしたんだよ。突然!!!」

「うるさいわねえ。ちょっと一人にさせてよぉ。」

「わ、わかったよ。でもあんまり、
 思いつめたらだめだよ。
 今回はたまたま運が悪かっただけなんだから。
 また次のチャンスがあるんだから。」
 
「わかってるわよ!!!」

彼女は新人アイドル、池谷 陽子(いけたに ようこ)。

スレンダーな体系を生かして、
モデルやドラマなどに出演している彼女。

彼女が荒れている理由は、
先ほど行われたオーディション。

・・・・・・・・・・・

『では、わが社の次の新商品のイメージガールには、
 小林 まどかさんに決定しました。』

幾度かのオーディションが行われ、
陽子自体も、手ごたえのあるなと思っていただけに、
この結果はショックだった。

また選ばれたのが、事もあろうか彼女のライバル
小林 まどか。

同い年で、デビュー時期もほぼ一緒。
また、どちらも似たような体系で、
事務所の売りもなんとなく被っている感じ。

対抗意識を燃やしている事務所同士、
あてつけのように
似たようなアイドルを売り出しているのだと、
もっぱらの評判であった。

事務所のお偉方が焚きつけた炎ではあったが、

今となっては陽子も、まどかも、
お互いを必要以上に意識し、

表面上は普通に接しているが、
その時の顔は、とてもテレビに映せるような代物ではない。

それでも、実力的には
ほぼ互角の彼女たち。
しかし、最近その関係に変化が訪れた。

伸びてきたのは言うまでもなく
まどかだった。

それまでスレンダー美人を売りにしていた彼女。
ところが
まどかは突然、胸が大きくなり、
巨乳アイドルの仲間入りを果たすと、
そのまま一気に陽子を突き放してしまった。

「ったく。何よ。ちょっと胸が大きくなったくらいで
 あたしだって・・・・・。」
 
と自分の平らな胸に手を当てる。

「やっぱ、女は胸が大きくないとだめなのかなぁ」
と今日始めて弱気な顔になった陽子。

最初の勢いはどこへやら、
うつむき下を向いて歩く陽子。

ゴン!!!!

「痛ったああ。何よ、こんな所に
 看板なんか立てかけといて!!!」

下を向いてボーっと歩いていた自分を棚に上げて、
看板に八つ当たりする陽子。

「全く、こんな所に・・・邪魔ねぇ
 え、なに、なに・・・・『あなたの願い、叶えてみせます。』
 ですってぇ。何よぉホントなのぉ
 また誇大広告なんじゃないのぉ」

と半信半疑になりながらも、
興味本位に看板の掛かった店の中に入っていく陽子。

「いらっしゃいませ。何かお探しですか。」

初老の男が、店の奥のレジの横に腰掛
陽子に声を掛けてきた。

「ねえ、ここってさっき、看板に願いを叶えてくれるって
 書いてあったけど、それってホントなの?」

と、いかにも信じられないといった口調で陽子が
聞くと。

店主は。

「はい、左様でございます。
 わたくし共の商品でお客様の願いを叶えさせていただきます。
 まあ、その対価として、お客様には、それ相当の
 代価を支払っていただきますが。」
 
「代価って、お金でしょお。」

「わたくし共はお金で買えないお客様の
 幸福の手助けをするのが仕事でございます。
 ですから、お金は一切いただきません。
 この店に入って来られたのは、
 お客様も叶えたい願いがおありだからだからでは
 ないのですか?」
 
「ふーん。そこまで言うなら、叶えてもらおうじゃない。
 あたし、アイドルの池谷 陽子って言うんだけど、
 おじいさん。知ってる?」
 
「ああ、そういえば、どこかで拝見したと思っておりましたら、
 芸能人の方でしたか。」
 
と店主はどこか白々しい返事をすると

(このジジイ、あたしの事知らないわね。くぅうう
 よくもそんな風に言えると思って関心するわぁ。)

「あたし、どうしても、もっと有名になりたいの
 そのためには、今のままじゃ駄目なの!!!
 もっと魅力的な女にならないといけないのよ!!!
 ねえ、あたしの願いを叶えてくれるものってホントに
 この店にあるの?」

すると、店主は溜息一つ。

「お客様、女性の魅力とは、
 外見だけではありません。
 女性の本当の魅力、美しさは、内面から
 出てくるものなのです。
 
 魅力的な方は幾つになってもお美しいものです。
 見てくれだけの美しさなど、
 皆、すぐに飽きてしまうでしょう。
 お客様が、本当に美しくなられれば、
 百年、千年に渡って語り継がれる方と
 なられるでしょう。・・・・」


芸能界とてキレイな人はごまんといる
だが、その中で本当に成功したり、
いつまでも脚光を浴び続けられる人など
ほとんどいらない。

だが、今すぐに結果を求める彼女にとって
そんな悠長な話はごめんだった。

「ちょ、ちょっと。なにそんな気の長い事いってんのよ。
 あたしは今すぐじゃなきゃ困るのよ。
 だってそうしないとあの女に、負けちゃうもの。
 そんなの絶対に嫌!!!。
 あたし、そのためだったら、何でもしてやるわ。」

「お客様!!!!」
といきなり大声を上げる店主。

「な、なによぉ。」

「『なんでもする』などとそのような事、
 軽々しく口にするものではありませんぞ。」

いきなり怒られた事に今度は陽子も腹を立て。

「ふん、どうせあたしの願いが叶えられないからって
 そんな事言ってんでしょ。」
 
そういわれ。

「判りました。お客様がそうおっしゃるなら、
 仕方ありません。」
 
と店主は、後ろの方へ引っ込むと、
すぐに、一本の牛乳瓶をもって現れた。

「では、これをどうぞ。」

「何よこれ?」

陽子が不振そうに言うと

「牛乳です。」

「ぎゅ、牛乳?、なによ、これを飲むと。
 胸でも大きくなるの?」
 
「はい。これを飲み続ければ・・・・。」

「は?、飲み続ければって、これそんなに量ないわよ。」

「では、ためしに、一杯飲み干して見てくださいませ。」

ゴクッ、ゴクゴクゴク・・・・・。

言われたとおり、蓋をあけ中の牛乳を一気に飲み干す陽子。

「では、蓋を閉めてください。」

と今度は店主に言われたとおり、蓋をする陽子。

そのまま、ビンを見ていると

底の方から白い物が競りあがり、やがてビン一杯に
牛乳が広がっていく。

「へーー、すっごい。これ、どういう理屈なの?」

「はは、ま、まあ、細かい事は企業秘密でございます。」

「ふーんなるほど。このビンさえあれば、
 あたしも、巨乳アイドルの仲間いりね。」
 
「ええ、まあ。・・・・。」
と店主は歯切れの悪く言う。

「じゃあ、これ貰ってっていいわね。」

「ええ、構いませんよ。ただし、見てくれの美しさは、
 所詮、まやかしなのですよ。」
 
「はいはい!!!わかったわよ。もう。」

「ああ、それから余り飲みすぎると・・・・・」

「もう!!!、いいわよぉ。どうせお腹壊すって言いたいんでしょ。
 もおおお。わかってるわよぉ。じゃあねー。」
 
バタン!!!

勢いよく見せのドアは閉められ
店は再び店主一人きり。

「ふー、やれやれ、年寄りの話は最後まで聞くものですよ
 お嬢さん。・・・それにしても、あのような小娘に
 向かって、かように大きな声でどなりつけてしまうとは、
 わたしも、修行が足りませんなぁ。」
と肩を落とし、先ほどの自分の行いを反省しつつ。

「まあ、たった一杯であれだけ反応なら、
 彼女なら、それほど時間は掛からないかもしれませんね。」
 
・・・・・・・・・・・・・

それから数週間。

陽子の胸は、瞬く間に大きくなったが、
彼女はさらに大きくするため、例の牛乳を飲み続けていた。

そして、新たなCMオーディション。

『では、あと一時間後に最終オーディションを行います。
 エントリーされた皆さんは、控え室でお待ちください。』

陽子の控え室は、まどかと同じ部屋だった。

そこで陽子が見たもの。

それは・・・・・・。

「ま、まどか、あ、あんた。そ、それ。」

まどかが持っていた
牛乳瓶。それは、陽子が飲み続けている
牛乳と同じビンだった。

「そ、そっかアンタもそれで・・・・。」
その言葉に今度は、まどかが、

「アンタもって、じゃあ、陽子もあたしと同じ
 店で・・・・・・もおおお、こ、こうしちゃいられない。」

ゴク、ゴク、ゴク、ゴク。

とまどかは、一気に一ビンを飲み干すと、
蓋を閉めて、ビンが再び一杯になるのを待つ。

「ちょ、ちょっと何一気に飲んでんのよ。」

「ふん。このコマーシャルでアンタを蹴落として、
 一気にあたしがCM女王になってやるんだから。
 そのためには、もおおっと、もおおっと胸を大きくしなきゃ、」
 
「もおおお、なんですってぇ。あたしだって。」

ゴク、ゴク、ゴク、ゴク。

ゴク、ゴク、ゴク、ゴク。

二人の美少女が、牛乳を一気に飲み、
そして、また飲む。

(もっと、もおおと、胸大きくしないと、
 あの女に勝てない。
 そうよ。胸をおっきくして、
 それから、『雄』を一杯引き寄せて
 あんな『雌』なんかよりも・・・・・・・
 そう、もっと、モオオオっと、モオオオ)
 
飲み続けるまどかの髪の毛の隙間から、
白く硬いものが生え、徐々にそれは大きくなっていく。

(そうよ。もっと、もっおおおおと
 まどかよりも、いっぱい売れて、
 おいしい物一杯食べて、
 元気な『赤ちゃん』をいーーぱい『産』まなきゃ。
 ウモオオオっと、モオオオ・・・・・)
 
陽子の手のピンク色の爪が黒くなり、
やがて指を侵食して蹄になってゆく。

胸が大きく膨らみ、

苦しくなった2人は、
蹄に変わってしまった指で、
洋服を破ると、

そこには、ブラジャーから飛び出た
巨大な乳房が垂れ下がり、
乳首からは、白い液体が滴っている。


「もおう。、もおおと、牛乳を、アレ
 ビンが、蓋が取れない」

まだ、自分達の姿に自覚のない
2人は必死に牛乳瓶の蓋を取ろうとするが、

蹄に変わってしまったそれでは、
蓋を持つどころか、
ビンを掴む事さえ出来なくなっていた。

いつの間にか生えてきた尻尾をブンブン振り回しながら、
ビンと格闘する二人、
目の前の物に気が付き。

(もおお、そうよ。あの牛から・・・・・・飲めばいいんだわ。)

(あんなにお乳を垂らして、おいしそう。・・・・)


2人は自分の目の前の牛
半人半牛となったお互いの胸に
しゃぶりついて、滴る白い液体を
喉の奥に流し込む。

「あかチャン。いっぱい、産もお、ウモオオ。」

「モオオオ、交尾、コウビイ、ンモオオオオオ」

二人の頭の中は次第に
雄との交尾と
子供を産み、育てる事だけになり、

二人は、わずかに残した人の姿と共に
その心まで、牛へと変わってしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここは、ニ人がビンを貰った店。

「モオオオ!!!」

「ンモオオオオ!!!」

破かれたスカートや洋服の上で、
鳴き声をあげ、尻尾を振るニ頭の牛。

鏡に映し出された光景を見ながら
店主は。

「ふー、やれやれ、彼女達もやはり、こうなりましたか。
 しかし、今回は場所がまずいですねぇ。
 仕方ありません。 
 小竜太(こりゅうた)!!!」

店主が奥のほうへ顔を向け大きな声で呼ぶと

「あ、はい。マスター。」
と奥から、まだ小学生くらいの少年が現れる。

「済みませんが、彼女達を回収して来て下さい。」

鏡に映った牛たちを見て、

「えええ、僕がですか?」

「そうです。他に誰がいるのです。
 まあ、さすがに、君に
 牛をニ頭を連れてくるのは大変でしょう。」

と店主が言うと
レジのおいてある机の引き出しから、
プラスチックできた丸いもの2つ取り出す。

ちょうと、赤い半球と白い半球が
2つ重なったようなボール状のカプセルを
少年に渡しながら、

「この玉を相手にぶつけると、蓋が開いて、
 当たったものを中に閉じ込める・・・・
 まあ、そういう道具です。
 これに入ったものは、重量が軽くなるので、
 大きな牛でも、
 簡単に持ち運ぶ事ができるはずです。」

という店主の言葉に少年は目を輝かせ。

「すっげぇ!!、モンスターボールみたい。」
と声を上げる。

「ん?なんですか?その、もんす・・・・・」

「ああああ、いやあ、なんでもないです。マスター。」
なにやらごまかそうとする小竜太。

その様子に店主は

「君は、また俗世の物に興味を持って、
 よいですか。われわれの・・・・・・・・」
 
「じゃ、じゃあ、いってきます。マスター!!!」

と逃げるように出て行こうとする小竜太。

「ま、待ちなさい。小竜太!!!
 あー。行ってしまいましたか・・・・・・・
 アレにも、人にも、私は
 振り回されてばかりですよ。」


少し疲れ気味に店主は、
鏡に映る牛達に一瞥した後、

布をかけ、その場を後にする。

・・・・・・・・・・・・・・・

さらに一年後。
とある牧場の一角。

「モオオオオオオオオオ!!!」

「ンモオオオオオオオオオ!!!」

ニ頭の牛は競うように、鳴き声を上げ、
自分の仔供たちに乳を与えている。

まるで、
『私の仔の方がかわいいわよ~。』とか
『何言ってるの。私の方が・・・・・』などと
言いあってるようにも見える。

牛になっても陽子と、まどかの関係は
一向に変わっていないようだ。
	
おわり
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