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獣化学園シリーズ No.03

乗馬部 黒き風、白き雷・・・・

作者 DarkStar

白十字女学院、正しい名を

白獣人女学院、ここは、
その身を人にの姿にかえる、獣の少女達
彼女らが人間社会に溶け込むため
学園である・・・・・。


「ヒヒーーーン!!!!」
乗馬クラブの練習場に馬の鳴き声が響き渡る。

「落ち着いて、香奈美!!!、落ち着いて!!!」
馬に乗った女子生徒が、必死に宥めるも、馬はなかなか止まらない。

「仙道田、手綱を離すな!!!、落ち着くまで待つんだ!!!」

女性顧問の指示の通りにしているとやがて、
馬がおとなしくなり、女生徒は、すぐに馬から降り、
駆け寄る。

「香奈美、どうしたの、さっきの障害で怪我したの?」

「ヒヒィィーーーン!!!!」
大きな嘶きをあげた馬の体が徐々に小さくなり、
体中の体毛が薄くなり始めると、ひづめは小さくなり、
5本の指が生え、尻尾は短くなる。
面長な顔は小さくなってゆくと・・・・・。

そこには、裸の女の子が立っていた。
「ごめん、麻衣、後脚を捻ったみたい・・・。」

片足を引き摺りながら、
裸の少女は、女生徒に答えた。

「どうした、だいじょうぶか?」
先ほどの、顧問が馬に乗って近付いてくる。

「国見先生、香奈美が、怪我したみたいなんです。」

馬から降りた顧問は、裸の少女に
香奈美に自分の上着を掛けてやり、
「とにかく怪我の手当てを、綾乃、お前は大道寺の診てやれ
 他の生徒達は、私が見ておく。」

顧問の言葉を聞いた黒い毛の馬は

「ヒヒーン!!!」となくと、
香奈美を乗せる格好になる
「天宮先生、私もついて行っていいですか」
麻衣の声に馬は、うなづくと、
2人を乗せ、厩舎の方へ、

2人を降ろした、馬は、
前足を振り上げ、
「ヒヒーーーーーン」
と大きな嘶きをあげると

全身の毛がなくなり、引き締まった筋肉を
柔らかな脂肪へ変えて行く、
鬣は、長さを保ったまま、
艶のあるストレートの黒髪に変わり、

筋肉に覆われ、ごつごつした
胸元が大きく膨らむ、
生えていた尻尾が
短くなるにつれ、引き締まったお尻が
柔らかくなってゆくと
馬は、大人の女性の姿へと姿を変えていた。

「大道寺さんも、とにかく服を、手当てはそれからよ。」

先ほどまで馬だった綾乃は、
厩舎の柱に掛かったハンガーから、自分の服をとり、着替えながら、
香奈美にも服を着るように指示する。

・・・・・

保健室へ移動し、
香奈美の足に丁寧に包帯を巻きながら
綾乃は、
「やっぱり折れているみたいね。・・・・・。
  全治1ヶ月、私達なら、2週間という所かしら、
  ヒトの生活はちょっと不自由でしょうけど、・・・・大会は無理ね」

「そ、そんな・・・。でも、それくらいなら大丈夫じゃないんですか?」

香奈美と麻衣は、1人と1頭として、
再来週行われる馬術大会に参加することになっている。

その日のために
この一年間、2人で頑張ってきたのだ。
香奈美は自分のせいで出場を断念するのは、
黙っていられないのだ。

「駄目よ。確かに私達の回復力は人間よりも、数倍早いけど、
 馬になった時の、私達の体重は700キロを超えるのよ。
 その体重を、あの細い4本の脚で支えなくてはならないの。
 直りかけの状態で走ったら、
 今度は粉砕骨折をするかもしれないわよ。」

「でも!!!!」

「香奈美、いいよ、私の事なら、気にしなくて・・・・・・」
必死の香奈美を麻衣が止める。
「仕方ないよ。香奈美が怪我したのは、香奈美のせいじゃない、
手綱を持っていた私が、もっとちゃんとしていれば・・・・。」

「そんな、いや、またあたしのせいで、麻衣が大会に出られないなんて、
 そんなの・・・・そんなのって・・・・ないよぉ・。」

目に大粒の涙を浮かべ、言葉が出てこない香奈美

「香奈美・・・・・・・。」
泣き出す親友の姿に麻衣は、決心の表情になる。
「先生、香奈美は、ヒトでいるなら、問題なんですよね?」

「ええ、そうよ・・・・・まさか仙道田さん、あなた!?」

「はい!!、香奈美の代りに私が走ります。」

「でも麻衣、・・・麻衣は、・・・・」
香奈美も、泣きながら親友に詰め寄る。

「大丈夫、だって香奈美は、今まで私の代わりいつも、走ってくれて
 たんだもん。、私だって、私だって、走らなきゃ!!!」


次の日。
「これ、つけるもの久しぶりね。」
裸になった、麻衣は、昨日香奈美が付けていた、
蔵と手綱を見ながら、

四つんばいになると、手と足の中指が太くなりながら、
他の4本の指を飲み込んでゆく、
髪と同じ白み掛かった毛が全身を覆うと、
小ぶりの胸は筋肉の中に飲み込まれ、
四肢が伸びると、顔にも、変化が現れる。
短い麻衣の髪が伸び始め、
耳が尖りながら頭頂部へ移動したかと思うと、
顔全体も、伸び始め、
「ひん、ひひん、ヒン、ヒィヒン」
少女の声は、馬の鳴き声へと変わっていく。

「ヒヒーーーン!!!!」

美しい葦毛の馬が大きな嘶きをあげる。


香奈美は、麻衣に手綱と、蔵を取り付けながら、
麻衣の毛並みをなでる。
「へへ、やっぱり、あたしより、麻衣の方が、毛並みも、色も
  サイコーね~」
変身した麻衣の美しさに見とれる香奈美。

「ヒヒン、ヒン、ヒヒーーン。」
その言葉に麻衣は、首を振りながら、答える。

「え、そんな事ないよ。あたしのって、
  いつも麻衣に一生懸命ブラッシングしてもらって、やっと
  きれいになれるんだもん。それにくらべて、麻衣は・・・・・。」

「ヒン、ヒン、ブルブル!!!!」
ひさびさの馬姿の麻衣に見とれている香奈美に
麻衣が諌める。
しかし、香奈美も負けじと

「もう、駄目だよ麻衣、今日は、私が麻衣に乗るんだから!!!!
 麻衣はわたしの、言う事聞かなきゃだめなんだから!!!!」

いつもの立場が逆転している事を思い出した
麻衣は、人でいう、やれやれのため息を
「ヒヒーン」とついた





「おい、仙道田が走るって言うのは、本当か!?
  だってお前は・・・・・。」
2人の会話に入ってきた
乗馬クラブ、顧問の国見 遥は、驚きを隠せない。

「大丈夫よ、遥、こういうときになるといつも、心配性ね。」

「うるさい!!!、お前こそ、こういう時になると、
  いつも、いいかげんな事ばっかり言って!!!」

同じく顧問の天宮 綾乃にちゃかされ、怒るが
生徒の前だということを思い出し、冷静になる遥。

「ゴホン。だが、大会直前になって、パートナーが入れ替わって大丈夫か?
 大道寺が、上に乗るのも、仙道田が走るのも、あの時以来だろ。」

白十字女学院 乗馬クラブは、
入部と同時に、馬獣人の生徒で
2人が組みとなり、互いが、馬となったり、
人となって乗ったりして、
成績の良い組み合わせで大会に望む。

入部したててでありながら、上級生の馬達よりも、
難しい障害をなんなく飛び越えていた麻衣は、
一年生ながら、校外大会への出場馬として認められ、
当時、ほぼ上に乗っかっているだけの
パートナーの香奈美も、
選手として、出場する事が決まっていた。

しかし、大会前日に香奈美が麻衣から落馬してしまう。
幸い、香奈美自身の怪我は大した事がなかったのだが、

麻衣は、落馬させてしまったショックから、
人を乗せられないようになってしまう。

それ以来、二人は、いつも香奈美の馬に、
麻衣が、上にのって、今度の大会まで、練習を重ねてきた。

自分のせいで、麻衣が出られなくなってしまったと
思い込んだ、香奈美が必死に練習に打ち込み、
また、麻衣も、頑張る彼女に負けないよう
にした結果、香奈美はかつての麻衣以上の馬に、
そして、麻衣は、上級生にも、決して引けを取らない
選手となる事ができた。

それが、またスタートから、
いや、彼女達は、まだスタート地点にすらついていない。
麻衣は、まだ人を乗せられない上、馬に変身するのさえ、
半年ぶりなのだ、調子をつかめないだろう。
それに、香奈美もずっと馬でいた為
乗馬の技術は、新入生とほとんど変わらない・・・・・。

「私、乗るのは、ひさしぶりだけど、
 走ってくれるのが、麻衣なら、絶対丈夫だと思う。
 また、二人で頑張って二人で乗り越えよう」

「ブルヒヒーーーーーーン!!!」
香奈美の声に麻衣も力強く答えた。


馬に跨る少女、
そして、馬は、走り・・・・、ださない。
歩く事は出来るが、それより早くはならなかった。
「ひ、ひん、ヒヒン」

「え、ま、待って、麻衣、そんな急にヒトになんて」
しゃがむ麻衣から、香奈美が飛び降りると
麻衣の白の毛並みが、
健康的な女の子の肌へと変わっていく。

「ごめん、香奈美、私、まだ・・・。」

裸の麻衣に駆け寄り、上着を貸す。

「いいよ、麻衣、じっくりやろう、歩けたんだもん、
 走れるよ!!!、だって、走るのが私達、馬の
 専売特許でしょ。」
と元気付ける、香奈美

「あの二人だいじょうぶだろうか」
乗馬クラブ顧問、国見  遥は
心配そうに2人を見守っていた。

「貴方が心配しても、何も変わらないわ」
同じく顧問の 天宮 綾乃の言葉に
「いつも、こういうときは、冷静だなぁ」
少し、呆れた遥が、綾乃にいう。

「仕方ないじゃないの、コレばっかりは、
  仙道田さんの心の問題なんだから。」

「しかし、なんとか、ならんかな?」

「誰かが、自分のトラウマに打ち勝つの見せて
 ハッパを掛けるとか?」

「そんな奴他に居、って、ま、まさか、」

動揺した、遥に対して、
普段生徒には、決してみせない
邪悪な笑みを見せた綾乃は、

「そういえば、私最近、
 走らされてばっかりよねぇ、誰かさんに・・・。」


「か、考えておく、」



結局、人を乗せて、歩けるようになってから、
進歩のない麻衣
もう、大会まで1週間を切ろうかという今日まで
いまだ、障害の一つも飛んでいない。


「仙道田、これは、もうお前の心の問題なんだ。」
遥の飛ばす激にも、力が入る。

「そうよ。大道寺さんを信じてあげて、彼女ならだいじょうぶよ。」
綾乃も、声を飛ばすが、それも届かない。

歩くペースも、落ち、
麻衣はうづくまると、香奈美を降ろし、
人の姿になる。

「やっぱり駄目だよ。香奈美、ごめん、私できないよ。」

泣き出す、麻衣。
「あきらめちゃだめだよ、まだ、後1週間あるんだよ。」

しかし、麻衣は泣きやまない。
「無理だよ、1週間前なのにまだ、障害を一個も越えられないんだよ。」

「麻衣なら平気だよ。だって、1年前は、全部飛べたんだもん。
 無理じゃないよ。私は、麻衣を信じる。」

「だめだよ、もう、私には・・・、できっこないよ。じゃあ、
香奈美 証拠みせて、だいじょうぶっていう証拠を・・」

「そ、それは、」
さすがの香奈美も、だいじょうぶな証拠と言われても
そんなものは、何もない。

2人のやり取りを聴く。
顧問2人、

「自分の弱さを、パートナーにぶつけるなんて最低だぞ!!!」
遥の大声にすくむ2人
「乗馬は、一人じゃ無理なんだ、人馬一体、
 乗り手と走り手が一体になって初めて、その真価が発揮できるんだ。
 仙道田、お前、証拠がほしいといったな、だったら、大道寺の代わりに
 私が見せてやる!!!!」

遥の声に綾乃が驚く、
「ちょ、ちょっと、遥、本気なの?そんな約束して!!!」

「どうした、こういうとき、心配するのは、いつも私の仕事だろ。
 だいじょうぶ、上に乗るのが綾乃なら、私は平気だ。」

「そんな、ちょっと・・・」

「お前達に、見せてやる白十字のブラックウインドの走りを」

そういった、遥は、下着ごと、服を脱ぎ、
ズボンに手を掛け、一気に裸になると、

「ヒヒーーーーーーーンン!!!」
 地面に両手を着いて、馬の嘶きをあげる。

男勝りの遥だが、
その体は、実に女性らしい美しいラインを持っている。

その肉付きのよいお尻から、綾乃のよりも、
さらに、黒く、そして、艶やかな、黒の尻尾が生え
左右に揺れると、

長い腕の間の大きな胸は、
小さくなりながらも、
その数を増やす。

美しい手足から、蹄が生え、
やがて、
すっと通った鼻筋が口と共に、伸びていくと
遥の体は馬のそれへと変化した。

「そ、そんな、国見先生がブラックウインドだったなんて・・・・」
麻衣と香奈美が驚くのも、
無理がない。
白十字学園始まって以来の天才馬、
通称:ブラックウインド。

競技におけるその美しさは、
まさに、黒い風。また、乗り手の着る、
純白のユニホームとも、
合いあって、余計に
その美しさが際立ち、審査員達を魅了した。

しかし、全国大会決勝、
わずかなミスから、ブラックウインドは、
最後の障害を踏み外し、それが原因で
優勝をのがしてしまった。

以来、ブラックウインドは、姿を消し、
関係者は、そのなぞを必死に探したそうだ。

「で、でも、ブラックウインドは、綾乃先生じゃないんですか?」
 と香奈美が聞くと

「いいえ、たまたま、私も、遥と同じ毛色の
 馬だったから、遥かの代わりにブラックウインドという事
 にしてもらっているの。これは、教師以外は、
 当時のOGが知っているだけよ。」

「どうして、そんな、!!!」
麻衣が聞くと。

「仙道田さん、あなたと同じなの、遥は、
 あの大会以来、遥は、あの時の障害をどうしても飛べないの
 この練習場でも、ちょうど一番最後にある、あの障害だけが、」

「だから、みんなにお手本を見せる時は、
 私が、遥の代りに走った、でも、それは本当のブラックウインドの
 走りとは、全く別物なの。」


いつもは、自分のつけている蔵を
遥かに乗せながら、

「遥も、人を乗せるのは、久々だし、
 あたしも、遥に乗るのは、久々よ。
 それは、あなた達のブランクよりも長いわ。
 でも、遥はやると言った。
 遥は私を信頼してくれる。そして、私も遥を信頼している」

「ブヒヒーーーーーン」
黒い風の女王は、自らの走りを
見ろと生徒に言うと、
パートナーを乗せて走りだす。


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綾乃、今までごめん、私は、ずっと逃げてきた、
そんな私を君はいつも、黙って支えてくれた。
文句も言わず、私の代りに走ってくれた。

君は、自分の走りは、ブラックウインドの走りではないと
言ったけど、私は、そんな事は思わない。

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次々と障害をまさに風のようにこえていく、
ブラックウインド、綾乃の的確、
指示、ブラックウインドが答える。

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私は、ただの「遥 号」だ、ブラックウインドなんかじゃない。

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そして、ついに最後の障害が2人に立ちはだかる。

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そうだ、私達2人で「ブラックウインド」
黒き女王の風は、こんな、障害なんか吹き飛ばしてやる!!!!

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2人の少女は、その時、本当の黒き風を
その目に焼き付けた。

- 一週間後 ------

1頭の白い馬の走りが、
再び、審査員を魅了する。
つぎつぎと障害を飛び越える姿もさることながら、
優雅さと、そして気品あふれる井出達。
乗り手の白服と葦毛色の馬が一体となり、
まさに人馬一体の姿。

「これは、ブラックウインドの再来、
 嫌、風の女王をも超える逸材かもしれん。
そう言うなれば、まさに白き雷(ホワイトサンダー)だ」
	
おわり
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