その他の獣化作品 No.02

白狐祭

作者:DarkStar

寒い冬が過ぎ 春の日差しが神社を照らす。

雪代神社の境内には 幾人もの 巫女装束の女性達

彼女達は てんでに作業に終われている。なにやら 祭りの準備でもしているようだが どうも いつもと様子が違う。

ああ 忙しい。忙しい。こんなにやる事があるのに 人手がないのよ!。巫女頭様~。どこから アルバイトの子とか雇えないんですか?まだ明日まで時間がありますし

と愚痴を溢す巫女に

駄目です。この神社は 神聖なる白狐さまの神社。普通の人をここに入れるわけには 行かないのです。この時期は特に・・・・・・ と巫女達を取り仕切る巫女頭の女性。彼女とて 人手不足のこの神社の現状を判ってはいるのだが

この神社の決りを破るわけにはいかず仕方なしに 神社の巫女総出で この神社の神様を迎える準備をしているのだ。

巫女達がせわしなく 境内を歩き回る中 そこへ 神社の階段を上ってくる人影。

全く なんでこんなとこまでこなくちゃいけないのよ~

となんとも 気のない声。

なによ。ここで合格祈願したおかげで みんな揃って同じ高校に通えるんだから お礼のお参りするのは当然でしょ~

ともう一人が返すと。

だから あたし達が合格できたのは 私達の実力でしょ。まったく恵子は

もう 知美は こういう感謝の気持ちが 大事なのよ

と仲たがいをせん勢いの 2 人に

まあ まあ 知美も 恵子も せっかく 3 人で合格できて また一緒にお参りにこれたんだから 喧嘩なんてやめようよ。ね

もう一人が諌めると。

まあ 百合がそういうなら。ごめん恵子アタシ 言い過ぎた

ううん あたしこそ 受験で一番頑張ってたの 知美なのに・・・

2 人はお互いに自分が悪かったと謝りあった。

どうして ここへ。ここには ・・・・・・・が しっかり張ってあるのに・・・・ 3 人を見つけた巫女達はおどろきながら 小声で話していると・・・・・

あれ なんか すごく忙しそうだね

そうね。お祭りかしら

えッでも 神社にくるまで 特にお祭りとか聞かなかったけど・・・・・・

などと三人が言い合っているところへ。

一人の巫女が彼女達に近付いていく。

あの 何か御用ですか?

と百合が聞くと。その女性は 徐に顔を彼女達に近づけると

クンクン クンクンと鼻を鳴らし 3 人の匂いを嗅ぐ。この子達 やっぱり・・・・・・・だから この時期にこの神社に入ってこれたのね

ちょちょっと いきなり何ですか!!失礼な!!!

と恵子が怒ると巫女は

ああ ごめんなさい ねえ あなた達 突然で悪いんだけど ここで 巫女のアルバイトしない?

え!?

3 人が驚いていると。

私はここで巫女頭をしている。雪代 薙沙って言うんだけど いま白狐様をお迎えする。お祭りの準備でとっても 忙しいの。ねえ お祭りの終わるまで 2 日間だけでいいのバイト代はちゃんとだすから

ねえ 面白そうじゃない と恵子が言うと でも 巫女さんの仕事って大変なんじゃない と知美と返す。

きっとなんとかなるって それに あたし 巫女さんのカッコ一度やって見たかったんだ

っていうか それが 目当てなんでしょ。恵子の場合

と百合が笑いながら言うと

まあ 春休みもまだあるし 暇をもてあますより 体を動かした方がいいしね

じゃあ みんな引き受けてくれるのね

はい!!! 三人が答えると。

薙沙は 三人に着替させるよう別の巫女に頼むと彼女に連れられ 3 人は 社の方へ入っていく。

あの~ 巫女頭さま あの子達 まさか

と一人の巫女が聞くと

そうよ あの仔達は きっと どんなに 忙しくもしっかり仕える私達にきっと白狐さまからお救いに違いないわ と言うと薙沙は うっとりとした表情で空を見上げた。

憧れの巫女服を着た 3 人は それぞれ 買出しや 掃除などを言い渡される。

お供え物の買い物を頼まれた恵子と知美が渡されたメモをみてびっくりする。

油揚げ とだけ書いてある後に

あげたお金で買えるだけ と書かれており

貰った封筒には 札束がびっしりと詰まっていた。

これだけあったら どれだけ買えるかな

っていうか これなら ちょっと貰ってもバレないんじゃない

と恵子がいうと

だめよ。下の方に 領収書も わすれないでね って小さく 書いてあるもの。それにそんなことしたら ばち当たるわよ

などと話しながら 結局その日一日掛けて 2 人は 神社と店を往復しながら 町中のスーパーや はたまた隣町のスーパーや豆腐屋さんを掛けづり回って。買い集めてきた。

それこそ おおきな買い物袋に十数袋もの油揚げを抱えた 2 人は。

ごくろうさま~

と薙沙に言われると

あの~。宅配とかできないんですか?ここ

と恵子が聞くと

だめよ。ここは 神聖な白狐様の土地だから みだりに人間を入れてはいけないの

恵子がじゃあ 自分達はどうなんだと思いながらも複雑な表情を浮かべていると

あの~。こんなに大量の油揚げどうするんですか

と知美も当然の質問をする。

もちろん お供え物よ。まあ私達 巫女も食べるんだけど・・・・・・・・

と薙沙が言うと

こんなにいっぱい おいなりさんにしても まだ 余りますよ

うーーん きつねうどんにしても お味噌汁にしても これだけの量だとね~

2 人が言うと

何言ってるの? そのまま食べるに決まっているじゃない。そんな食べ方したら おいしくないじゃない

??

そのままの方がおいしくないんじゃないですか? と知美が言うと

巫女頭の薙沙は慌てて そうよね。あ 貴女達は まだ ああああああ ごめんなさい さっきの事は忘れて

と言うと。

そうそう 百合ちゃんも そろそろ 終わるから。ちょっと待ってて

百合は 2 人と違って 祭りの道具の掃除を他の巫女に交じってやっていた。

この神社って 狐の神様なんですね

狐の大さな像を磨きながら。百合が他の巫女に話しかけてると。

でしょ。白狐様ってその像そっくりでかっこいいのよ

と答える

えーと 白狐様役の男の人ってそんなにかっこいいんですか?

と別の巫女が

なに言ってんの? 白狐様が人間の男なわけないじゃない

そーよ。あたしも~ 白狐様みたいな 素敵な雄と交尾したいわ~

なんていいました?

不思議に思った百合が聞き返すと。

巫女たちは思い出したかのように

ああ そうだったわね。そうね。えーとなんの話だったかしら

ああ 早く掃除 掃除の続きしないと

みんな お疲れさまでした

お腹すいた~

と恵子がいうと

いじきたないわよ。~

と知美が。

仕方ないわよね~

と同意する百合。

みんな お腹すいたでしょ。本殿にご飯用意したから みんな食べてね

はい

と言われ 3 人が本殿に呼ばれると。

日が暮れて 薄暗い本殿には それぞれの前には おおきな杯の上に山のように盛られた。油揚げが。

これ あたし達が買ってきた奴じゃない

と恵子が言うと。

そうね。確かに ひょっとして ごはんってこれ?

3 人が話していると巫女たちは 目の前の油揚げをそのまま手づかみで食べている。その姿に

なんかみんなおいしそうに食べてるわね~

と恵子がいいながら 一つ油揚げを持つと一口に入れる。あげぬきもしていないのだろうか噛んだ所から 油が滴るが恵子は気にせず食べつづける。

それを見ていた知美も 同じように食べていると

ねえ 知美 恵子 おいしいの?これ

百合は思わず二人に問いかけた。

おいしいわよ うん 百合もはやくたべなよ

と返され 百合も口に入れるが うわ すごくあぶらっぽい。こんなのとてもたべられない

と百合が油揚げから口を離すと。彼女の背中にふさふさしたものが当たる。なにか毛皮のような大きなそれは ちょうど 恵子と 知美の後ろ辺りからそれぞれ 1 本づづあるようだ。

百合が後ろを振り向くと

恵子と知美のお尻の辺りから巫女服のはかまを突き破るようにしてふさふさした白い毛の塊が生え 左右に揺れている。

恵子 知美 なにそれ!!!

百合が驚きの声を上げると。それを聞いていないのか ついには両手を床について犬食いで 油揚げに食いついている。その 2 人の光景に驚く百合の目に

耳?

 2 人の頭から 真っ白な毛に覆われた。動物の耳が生え 生きている事を主張するようにぴくぴくと動いている。  百合が周りを見回すと。真っ白な狐が巫女の服を着て油揚げを食べていたり 頭やお尻から 獣の耳や尻尾を生やし 徐々にヒトの姿を失っていく巫女達の姿が見え。

そんなみ みんな狐に・・・ と百合が言っているそばで

恵子と 知美の手を白い毛が覆い 少しづつ獣の前足へまた 座っていた足も形が変わったのであろうか。お腹を付けて床に付けて四つ肢の獣と同じような格好になった 2 人の巫女服がズレ落ち。彼女たちは 2 匹のまっしろな毛に覆われた狐へと姿を変えた。

いや 恵子も 知美もき 狐になったちゃった

パニックを起こしている百合に 巫女頭の薙沙が近寄る。

どうしたの 百合ちゃん

座ったまま動けない百合が薙沙を見上げると彼女の頭からは白い狐の耳が二つと腰の辺りから 尻尾がフルフルとうれしそうに揺れている。

いや 狐になんかなりたくない

声を震わせながら 百合が言うと

大丈夫 怖がらなくても いいわ。百合ちゃん

だって 百合ちゃんにも こんなにかわいいお耳と尻尾があるんですもの

そういうと 薙沙は 百合の頭とお尻をさわり そこに生えてきたものに触れる。

恐怖に震える百合の気持ちを表し 共にピンとたった 耳と尻尾を優しくなでる 薙沙。

すると さきほどまで 油揚げを食べていた。恵子と知美が 百合に体をすりよせ顔を舐める。

やめて 恵子 知美 くすぐったい。くすぐったいよお はぁ はぁはぁ はあ ハッハッハッ

息が荒くなった百合が口からだらしなく舌を出すと 鼻先が 前に突き出してヒトから 狐の顔へと変わってゆく。

完全に狐の姿になった百合は さっきまで拒絶していた油揚げを一心不乱に食べまくる。

油揚げを食べ終わった 3 匹に

薙沙は さあ みんな 白狐様や他の雄達を呼ぶ準備をしましょう。私達 狐族のお祭りは まだまだこれからよ

そういうと 薙沙は両手を付き 狐の姿に変わると 本殿から外へでる。するとそこには おおくの狐や ヒトの姿を半分だけ残した。男達が 境内をあるいてくる。

我らの祭りを始めようか。今宵この地は決して人間どもに邪魔されぬ我らの聖地ぞ。さあ モノ共 存分にたのしもうぞ

本殿の像がそのまま動きだしたかのような巨大な白い狐の声に先導され。狐達の祭りが始まった。

この雪代神社は 狐による 狐のための神社。そう 雪のように白い狐が巫女を務める神社なのだ。