その他の獣化作品 No.18
銀の女王 ヴォルフィーネ
作者:DarkStar
夜も遅い住宅地をトボトボあるく、 一人の女性
顔を赤くし、 千鳥足の姿は、 かなり酔っ払っているようだ。
「隆の馬鹿!!!、 ちくしょーー!!」
「荒れているな ・ ・ ・ ・ ・ 女 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
電柱の影から現れたそれは、 長身の若い男。
「あによ ・ ・ ・ ・ アンたぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
突然現れた男に動じるようす泣く絡む女。
「自分を振った男に復讐したいのだろう?
無理もない、 お前のようないい女を振る 『最低』 男なのだから ・ ・ ・ 」
男は、 あえて「最低」と言う言葉を強調して言う。
それに気を良くしたのか。
「ふふ、 そーだわかってんじゃん。あの馬鹿、 隆。ぜえええったい
許さないんだから」
腕をグーにして天に突き出し、
深夜である事もお構いなしに大声を上げる。
「そうだ、 その嫉妬、 そのエネルギーこそ、 B SEED の至高の肥料。
さあ、 いまこそ大輪の花を咲かせるのだ。」
男が手に持っていたのは、 野球ボール大の物体、
一見すると果物にも、 植物の種子にも見える
それから、 無数のツルが伸びると、 女を絡め取る。
「な、 何、 何なの ・ ・ ・ ・ コレ ・ ・ ・ ・ ・ 」
絡みついたツルは、
巻きつくだけに飽き足らず、 その先を女の体の中に入り込むように同化していく。
顔の半分に浮き出したいくつものの線、
それは、 血管なのか、 融合した植物の茎なのか判別できなかった。
「隆、 ・ ・ ・ たかし、 ・ ・ ・ ・ あいつ ・ ・ ・ ・ 他の女に ・ ・ ・ ・ ・ ゆるさない。
殺してやる、 ころしてやる!!
タカシも、 あのオンナも、 みんな、 ミンナ、 コロシテヤル!!!」
狂ったように叫ぶ女の顔はまるでオニのような形相。
一方女の体の中に飲み込まれた種は、
体を占拠すると外殻となる女の体を変化させ始める。
健康的な肌が不気味な緑色の皮膚に変わり、
体中から、 粘り気のある液体が滴り落ちている。
スカートの下から千切れた下着の破片と、 足より太い
緑の ・ ・ ・ まるで爬虫類を思わせる尻尾が生えてくる。
開いた口からは、 鋭い牙がいくつも生え、 飛び出した顔は、
鼻の形を取り込んでいく。
頭からは、 長い髪が抜け落ち、
手足には、 手足には、 円錐形の爪が生えたかと思うと、
女の体が一回り、 二回りとどんどん大きくなっていく。
『ぐああああ、 グオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』
女の唸り声が巨大な獣の鳴き声に変わると、
そこに立っていたのは、 巨大な爬虫類だった。
住宅地に現れた、 怪獣とも言うべき存在。
普通の民家など、 ちょっと足を上げてしまえば、
用意に踏み潰してしまうほど、 巨大なものだ。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
住民の安眠を妨げる爆音。
振り出される巨大な拳でなぎ払われ
踏み出された足に潰される家。
「きゃああああ」
「な、 なんだああああ!!!!!」
怪獣の声よりもその恐怖に慄く住民の声の声が大きくなっていく。
「ふっ、 さあ、 花は咲いた ・ ・ ・ ・ ・
後は ・ ・ ・ ・ 実をつけるだけだな ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
そういい残すと、 女を怪獣に変えてしまった謎の男は、
壁に溶けるようにすぅっと姿を消した。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
真っ暗な部屋に点る真っ赤な光り。
鳴り響くブザー。
赤く光る表示板には、 「ALART」 の文字
すると、 真っ暗だった部屋の電気がつき、 電子機器にスリープ状態から、
アクティブな状態になる。
個々の機器に付いた LED が点灯し、 冷却用のファンが唸りを上げる。
「 ・ ・ ・ ・ ・ 緊急警報、 緊急警報。 ○×地区に、 巨大物体出現。
現在、 警察と消防が現地に向かっていますが、
通報によると巨大生物が現れたとの事。」
オペレータを勤める男性職員の声。
そして、 その隣の席に付いた。白衣姿の妙齢な女性。
「相手は、 ビースターに間違いない?」
「間違いないと思います。現地に先行した諜報部に寄れば、
以前、 飛来したBX-00が放っていた
特殊な化学物質、 及び同一周波数の電磁波を検知。」
「ずいぶん待たせてくれたわねえ。00出現から、 今年で丸 10 年。
ま、 解散させられそうなうちとしては、 渡りに船かもね。」
と皮肉をこめて言うと
「そんな事といってる場合じゃないわ。
敵が現れた以上迎撃しなくては ・ ・ ・ ・ ・ 」
彼女達の席より、 一段上段。
部屋の中央に席を持つ女性の燐とした声が、 部屋に響く。
「でも、 どうする?、 さすがに市街地じゃあ、 さすがに手がだせないわ。」
「とはいえ、 なんとならないの。このままじゃ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「そうねぇ、 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
2人が頭をかしげながら考えていると、
「それなら、 大丈夫そうです。目標は、 現在村守山、 山頂に向かって進行中です。」
あの当たりなら、 民家はないはずですし ・ ・ ・ ・ ・ 」
とは先ほどのオペレータ。
「じゃあ、 叩くなら今ね。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 現時刻を持って、 目標をBX-01と呼称し、
これよりその排除に当たる。『ヴォルフィーネ』 出撃準備。」
手を振りかざし、 室内の職員に、 命令を下す。司令。
「「「了解!!!」」」
その声に作戦司令室の一同は声を揃えるのだった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ドックに格納された巨大な機械 ・ ・ ・ ・ ・ 。
その内部で、 腕を組みながら、 今か今かと出番を待っている。
『綾子。出撃準備、 大丈夫?』
目の前のスクリーンに映し出されたのは、 先ほどのオペレータ。
「了解よ。もう待ちくたびれちゃった。出るわよ。ハッチ開けて ・ ・ ・ ・ 」
地面に立って垂直に立っていたそれは、 それを支える柱と共に斜めになり、
そのまま、 リフトの上をスライドしていく。
『ハッチ開放 ・ ・ ・ ・ ・ ・ カタパルト射出準備良好。
進路クリア、 『ヴォルフィーネ』 発進どうぞ。』
アナウンスと共に、 引かれる天井。
月明かりが、 巨大な銀色の機体を照らしていく。
「さあ、 あんたのデビュー戦よ。『ヴォルフィーネ』 でるわよ!!」
勢いよく飛び出すリフト、 それにのった
『ヴォルフィーネ』 は 「地面」 がある限り加速し、
空へ打ち出されていく。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
町を壊しながら、 山に向かって突き進む。
巨大怪獣。
『まちなさーーーい』
という声に怪獣振り向いた顔面めがけて、
銀色の足が、 振りかぶられていた。
そのまま、 足と頭が接触し、
まるで、 ゴルフクラブでボールを飛ばすように、
一直線に飛んでいく。
しかし、 そこには、 建物が ・ ・ ・ ・ ・ ・
「ありゃ ・ ・ ・ ・ ・ やば ・ ・ ・ 蹴る方向 ・ ・ ・ ・ 間違えちった。」
といったパイロットの声 ・ ・ ・ ・ しかし、 そういった時には、
もうその建物は、 跡形もなく砕け散った後だった。
『ちょっと!!、 綾子、 気をつけてよ。』
オペレータの声がコクピットに響く。
民家から離れ、 山間に立つ小さな工場。
それを緑色をした怪獣の体が無残に破壊した。
深夜なのが幸いしたのか、 工場の機器も停止しており、
人もいないようだった。
「ごめん、 ごめん。ねえ、 達也、 あの山って、
前に2人で流星群を見にいった山じゃない?」
『うん。確かにあそこは、 星がよく見える穴場だけど ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
どうしてそんな所に ・ ・ ・ ・ 』
ガレキから、 立ち上がる怪獣 ・ ・ ・ ・ BX-01。
しかし、 身体にはそれほど大きいダメージはない。
その前に立つ姿は、 銀色の巨人。胸と左右に迫り出した両肩には、 狼がかたどられ、
赤い巨大タービンが付いた右腕。
小さなひし形状の青いパーツの付いた左腕。
コウモリを思わせる漆黒な翼と、 その巨体を支える強靭な足。
『ヴォルフィーネ』
それは、 かつて
地球上に現れた恐怖の生命体、 ビースター、 個体呼称 : BX-00。
それにたった一体で戦いを挑んだ謎のロボット ・ ・ ・
自らの 『命』 を投げ打って戦いを挑み。
相打ちになった ・ ・ ・ ・ ・ その 『彼女』 の核を使って生み出された
それは、 現行の地球のテクノロジーでは今だ解明されていない
多くの可能性、 とそして同時に ・ ・ ・ ・ ・ 危険性をも秘めている。
「さあ、 行くわよ!!!」
ピンクのレオタードにいくつもの、
電極のような端末のついた独特の戦闘服に身を包んだ
彼女の名は相沢綾子。
高度な重力相殺システムと、
モーションキャプチャー機能によって、
一流の兵士のような強靭な肉体や、 操縦技術がなくとも、
操作が可能な巨大ロボット、 ヴォルフィーネ
しかし、 『彼女』 に乗れる者は、 誰でもよいわけではない。
彼女には、 いや ・ ・ 彼女でなくてはならない特別な事情があるのだ。
いきなり、 顔面を蹴られた怒りからか、
緑の顔を赤くして、 襲い掛かってくる。
BX-01 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
それを迎え撃つ、 ヴォルフィーネ。
右腕のタービンが激しく回転し、
平手にされた手のひらは、 まるでドリルのように
猛烈な速さで逆方向に回転していく。
肘から巻き起こる炎をタービンの風がまとい。
炎の渦が腕に巻きつくと。
「よーし、 ブラスタァァァーーーーバレッド!!!」
彼女の叫びと共に。前に突き出される右腕。
炎の腕は、 肘から先を切り離し、 回転したまま、 弾丸のように飛んでいく。
『ブラスターバレッド』
高速回転し、 炎をまとった鋼のそれは、
ドリルのように相手の体を焼き貫く。
火傷と、 貫通の同時作用で、 敵に大ダメージを与える
ヴォルフィーネの主兵装である。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
作戦司令部のスクリーンには、
今まさにヴォルフィーネのブラスターバレッドが、 BX-01を捉える映像。
燃える炎の腕がBX-01に接触したかに見えたその瞬間。
突然推進力を失い。高速回転したまま空中で止まってしまった。
そこには、 BX-01との間に光る壁。
先ほどまでの攻撃が決定打を与えていなかったのは、
壁のせいなのだ。
「 ・ ・ ・ ・ ・ バリアね。でも、 あの程度の出力なら ・ ・ ・ ・ 。」
白衣の女史が、 言うまもなく。
後方の噴射口から出る炎の大きさが倍に膨れ上がると、
光の壁をギリギリと押しやる。
そして、 壁はガラスを叩き割るように砕け散り、 緑の皮膚に拳が突き刺さる。
目標に命中しても、 回転力を落とさないそれは、 その肉体を焼きながら、
体を貫通し、 背中から抜け出た。
炎の肘は、 その赤い鎧を脱ぎ去り、
自らが巻き起こす風で表面の熱を冷やしながら、
ヴォルフィーネの右腕に戻ってきた。
『グオアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
体を貫かれ、 焼かれる激痛に、 怪獣 ・ ・ ・ BX-01は声を上げる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ヴォルフィーネのコクピットのモニタには、
痛みに叫ぶとも、 怒りに震えるとも取れる
怪獣の叫び声。
体はふらふらしているが、
目はぎらぎらと輝いている。
「このまま一気にいくわよぉ ・ ・ ・ ・ ・ 」
『ヴォルフィーネ』 の基本戦術は、
接近格闘戦。
モーションキャプチャーを最大限活かし、
戦闘を進めるには、 このスタイルがもっとも効果的だ。
足が振り上げられ、
勢いをつけた蹴りがBX-01を襲う。
体を抱き、 まだ動けないBX-01に再び銀の足が触れられた。
バランスを取るため、 他の部位より、 比重を重くしたそれは
その質量そのものがここでは大きな威力を発揮する。
バリアを失った状態で蹴られ、 殴られ体や、 顔から血を流す怪獣
怒りの余り、 顔を赤くし、 口を開くと、 中には、 赤い弾が ・ ・ ・ ・ ・ ・
それが吐き出されると、 巨大な火の玉となって、 ヴォルフィーネに向っていく。
ヴォルフィーネは、 左腕を体と平行に前に出し、 拳を握る。
「ブリザードバックラー!!!」
綾子の掛け声と共に、 肘のひし形が
中心点を基準に、 形をそのまま大きく展開する。
ヴォルフィーネの左腕の盾から発せられる青い光りの膜。
展開された光に触れた途端。
火の玉は、 何事のなかったかのように消え
火球の残り香たる生暖かい風だけが、 機体に触れた。
その後も、 幾度となく、 BX-01は、 炎を吐き出し続けるも、
それがヴォルフィーネの機体に触れる事はなかった。
「へっへーん。効かない。効かない。」
『ブリザードバックラー』
左腕に装着されたパーツが展開し盾を作る。
その時に発生した青いバリアを通過した物体は、
運動エネルギーや熱エネルギーを一瞬にして奪われ、
盾に接触する頃には、 その大半が失われてしまう。
あらゆる攻撃から身を守る
ヴォルフィーネの防御システムである。
「ガルルル、 グアアアアアアアア!!」
声を上げる。BX-01
「ようやく観念した ・ ・ ・ ・ ・ えっ ・ ・ ・ ・ ・ 」
綾子が驚くのも無理はない。
唸り声をあげたBX-01の体を黄色い光りが輝くと、
見る見るうちに傷口がふさがっていく。
「な、 なんなのよ。こいつ ・ ・ ・ ・ ・ くっ!!」
敵に向かい、 蹴りを、 拳を繰り出すヴォルフィーネ。
しかし、 先ほどまでと違った鈍い音。
彼女の手や足には、 手ごたえを全く感じない。
(バリアも再生した? ・ ・ ・ ・ でもさっきとは、
・ ・ ・ ・ まさかバリアの出力が上がっている!?)
前のバリアより、 パワーアップしている。
それが証拠に外傷こそ与えられなかったものの、
BX-01の体を飛ばした格闘攻撃が今は完全に殺されている。
「く、 ブラスターバレッド!!」
右腕から再び放たれた鉄拳は、
唸りを上げて黄色い幕にぶつかっていく。
至近距離からのブラスターバレッドには、
強化したバリアも耐え切れず粉砕されたが、
それでもさっきより手こずった感が否めない。
「グアアアアアアアア!!」
BX-01が叫ぶと再び全身に黄色いオーラが覆っていく。
バリア喪失のうちに体を殴りつけるも、
攻撃を与えるよりも再生するスピードの方が早く、
最後には、 バリアまで復元し、 元の ・ ・ ・ ・
いや、 もとより悪い状況になっている。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
BX-01 の様子は、 作戦本部にもすぐに映像として伝えられた。
「これは ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
中央の指令が唇を噛む。
「再生能力ね。BX-00にもあったから、 やっぱり ・ ・ ・ ・ ・
楽には、 勝たせてくれないか ・ ・ ・ ・ ・ 」
声こそ、 いつもと変わらないが、 その額には、
冷や汗が浮かんでいる
これこそ、 ビースターの恐るべき能力
超速再生。あっという間に傷を治すその姿に、
例のロボットも苦戦を強いられた。
「そ、 ・ ・ ・ そんな ・ ・ ・ あんなに早く再生させられたら ・ ・ ・ ・ ・
どうやって勝んですか!!」
「そういわれても、 実際、 例の 『彼女』 と同じようにやるしかないでしょうね。」
「まさか ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
白衣の女史の提案に、 指令は声を荒げる。
「えええ ・ ・ ・ ・ ・ ヴォルフィーネの全エネルギーを一点に集中させて、
敵の中枢を体外に摘出 ・ ・ ・ ・ ・ 。」
「でも、 そんなことどうやって ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
『できるわ。』
オペレータの声を遮ったのは、 パイロットの綾子だった。
『パターン K ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 』
「ちょ、 ちょっとまって、 そんな事したら ・ ・ ・ 君は、 ・ ・ ・ ・ ・ 」
オペレータ達也は、 大声を上げて立ち上がる。
『覚悟の上よ。どのみち、 今はパワーで押してても、
あの再生スピードの長期戦なら、 あたし達に、 勝ち目はない。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 』
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
彼とて、 その手段でなくては駄目かもしれない ・ ・ ・ ・ 。
しかし、 なんとか別の方法を探ろうと必死に思考をめぐらせる
「綾子のいう通りよ。あれだけ短期間に肉体の再生行うなら、 とてつもない
エネルギーを使うはず ・ ・ ・
でもビースターの力は、 衰えるばかりか寧ろ増すばかり、
このまま、 敵のエネルギー出力が高まれば ・ ・ ・ ・
いずれヴォルフィーネも ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。」
いかに絶大なる攻撃力と防御力を誇る
ヴォルフィーネとて、 エネルギーには、 ・ ・ ・
いやなによりパイロットである綾子には、 限界があるのだ。
白衣の女史に諭され ・ ・ ・ ・ オペレータ達也は ・ ・ ・
「わかった。でも、 約束してくれ ・ ・ ・ ・ 必ず、 帰ってくるって ・ ・ ・ ・ ・ 」
『ええ、 こんな所で死んでたまるもんですか!!!』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
黄色いオーラを纏ったビースターに
立ちはだかる巨大な銀色の巨人。
「ビースター!!!、 みせてあげる。
『あたし達』 の全力! パターン K!!」
ヴォルフィーネの全身から、 青白い光りが、 放たれ
ビースターが動きを止める。
その瞬間。ヴォルフィーネの体が組み変わる。
左右を向いた両肩が前を向き、
頭部が体内に格納される。
すると胸の狼の顔が頭の位置に移動し、
三つ首の狼の顔が、 ビースターに向けられる。
両腕の手首 ・ ・ ・ ・ ・ マニュピレータが引っ込むと
変わりに爪のある動物の前脚が出てくる。
両足は、 膝の位置で、 前後に分かれ
膝の方が地面に付き、 手と同じ鋭い爪が迫り出す。
背中の後部に格納されたブレードが飛び出し、 尻尾を形作る。
そして、 銀色の巨人は、
羽の生えたケルベロスとも言うべき、
巨大な三つ首の狼へと姿を変えた。
しかし、 『変化』 はコレに止まらない。
「う ・ ・ ・ うう ・ ・ ・ ・ あ、 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
レオタード姿でうずくまる綾子
顔の前に出された両手の指は、
短くなりながら、 その形を変えていく。
尖った爪でレオタードを切り裂くそこには、
銀色の犬の前脚がそこにはあった。
足も、 レオタードを引きぢぎるようにかかとが伸び、 逆に太ももは短くなっていく。
長く伸びていく生地が耐え切れず破れたそれにも獣の肢が
「うん。ううう、 うううう ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
綾子が唸り声をあげると割れ目がくっきりとした
お尻の付け根が膨らみ、
伸びたゴム状の布が悲鳴を上げるように千切れると。
ふさふさの尻尾が窮屈なスーツから飛び出すように生えてくる ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。
口が伸び、 顔の中央にマズルが生える頃には、
頭の上の耳をピンと立てた狼の顔。
髪が吸い込まれるように消え。
コクピットの空間には、 人間大の狼が ・ ・ ・ ・ ・
いや、 その首の横から、 二つの突起が飛び出し、
ソレを突き破るようにして出てきたのは、 2つの狼顔 ・ ・ ・ ・ 。
そう機体と同じケルベロスの姿になった綾子の姿だった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
巨大な人型から、 ケルベロスに変形したヴォルフィーネ。
「ゴアアアアアアアアア!!!」
敵の姿に威嚇するBX-01。
『グルルルルガアアアアアアアア!!!!』
ロボットも負けじと、 声を上げ、
牙をむき出して、 襲い掛かろうとする綾子。
スーツが引きちぎれても、
反応するモーションシステム。
動きに合わせて、 変形したウルフィーナが向かっていく。
3 つの頭がそれぞれ違った色に輝きだし、
空気を切り裂く爆音と共にBX-01の方に突進する。
左の頭は青く輝き、 その牙がビースターを捕らえる
ビースターは動きを止めた。
続いて、 右の頭が、 赤い牙で肉を引き裂き。
胸に大きな亀裂を作る。
最後に銀に輝く中央の顔が、 開いた胸から脈打つ核に喰らいつき
引きずり出した
『ヘルズゲート』
ブリザードバックラーの力を備えた左の頭が
敵のバリアを無効化し、 喰らいついた牙から送られる波動が再生活動を停止させる。
続けざまに、 ブラスターバレッドの攻撃エネルギーを備えた右の頭が、
物理的に肉体を破壊し、
最後に中央の頭が、 トドメを指す
ヴォルフィーネの最大にして、 最後の切り札。
その代償として、
モーションシステムと完全リンクした綾子は、 一時的にケルベロスの姿になってしまう。
脈打つ、 赤い心臓。ビースターの核。
ケルベロスに加えられたそれが今にもつぶされようとする時。
『だめ、 それを壊してはいけないわ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 』
ケルベロスと化した綾子に問いかける声 ・ ・ ・ ・ ・ 。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
(だれ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )
(綾子 ・ ・ ・ ・ ・ 私の声が聞こえるのですね ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )
(あなた ・ ・ ・ 誰 ・ ・ ・ ・ ・ ・ )
(綾子 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 今は一刻も早く、 『彼女』 を助けなくては ・ ・ ・ ・ ・ )
(彼女?)
(そう、 貴女がビースターと呼んだ彼女 ・ ・ ・ ・ ・ 元は人間なのです ・ ・ ・ ・ 。)
(そ、 そうんな、 どうして、 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 第一どうやって助けるの ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )
(唄って下さい。私と同じように ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )
(唄う?)
( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ そう ・ ・ ・ ・ ・ 『ウォオオオオオオオオオオオオン!!!』)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!」」」
勝利に酔いしれる ・ ・ ・ ・ 作戦司令室、 ソレを止めたのは、
獣の啼き声 ・ ・ ・ ・ ・ いや、 ケルベロスヴォルフィーネの声だった。
スクリーンに目をやると、
銀色の光に包まれ、 宙に浮いた核に向かってヴォルフィーネが吼える。
三つの口が合唱するに一つに声を合わせ、
音の波動が響き渡る。
その声からでた波動が核に触れ丸い核は、 形を激しく形を変える。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
やがて、 卵が割れるように裂けると ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 核は蒸発するように消えていき、
中から、 裸の女性が飛び出てくる。
黄金の光に包まれた女性が、 地面にゆっくり下りていく。
彼女が地面に到着すると ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ その光りは静かに消えていく。
そして、 作戦司令室に走る戦慄。
「ビースターの核に人間が ・ ・ ・ ・ ・ いや ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「人間が、 ビースターになっていたの ・ ・ ・ ・ ・ ?」
司令の言葉を続けるように白衣の彼女は、 言葉を搾り出した。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
全エネルギーを使い果たし完全に機能を停止した
ヴォルフィーネに駆け寄る。達也。
コクピットを開けるとそこには、 ケルベロス ・ ・ ・ ・ ・
いや、 銀色の毛並みをもつ美しい狼がいた。
システムが完全停止したため、 ケルベロスの姿は維持できなくなったが
それでも、 その後遺症として、 いまだ獣の姿のままだ。
彼女は、 達也の顔に飛びつくと、 尻尾を千切れんばかり左右に振りながら、
顔をペロペロと舐める。
「は、 博士 ・ ・ ・ ・ ・ ・ こ、 これって ・ ・ ・ ・ ・ ・ なんとか ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
達也のすがるような声に ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。
「うーーーん。一度完全リンクしてるからね~。
しばらくはやっぱり、 このままだと思うよ~。」
と後から歩いて来た女史が応える
後ろで、 「そんな~」 と声を上げながら狼に押し倒される達也。
「それよりも ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 問題はこっちよね ・ ・ ・ ・ ・ 。」
やってきた救急隊に救助され毛布を掛けられ、 担架に乗せられる全裸の女性。
彼女の姿を見送りながら、 博士と呼ばれた彼女は深い溜息をついた。
ビースターとは、 なんなのか?
人々をビースターに変える謎の男の正体は ・ ・ ・ 。
そして、 ヴォルフィーネが、 ビースターと化した
人間を救ったあの能力とは ・ ・ ・ ・ ・ 。