獣化学園シリーズ No.13
帰宅部
作者:DarkStar
人に姿を変え、 人の中に生きる獣 ・ ・ ・ 獣人。
しかし、 中には、 隠れず堂々と人間社会に溶け込んでいるものもいる ・ ・ ・ 。
帰宅部 ・ ・ ・ ・ ・ 、 特定の部活動の所属せず、
授業が終わった後、 そのまま、 帰宅してしまう者達。
せっかくの青春時代を部活動で ・ ・ ・ ・ など言うものもいるだろうが、
帰宅部なりに、 青春を楽しむ事も無論悪い事はない。
とある民家の一室、 スケッチブックに向かって絵を描く少女。
その前には、 ・ ・ ・ ・ ・
「はーい。みいちゃん ・ ・ ・ ・ こっち向いて ・ ・ ・ ・
あ、 だめだめ、 尻尾動かしちゃだめよ。」
スケッチブックを持った少女が友人にモデルを頼んでいる。
しかし、 被写体の彼女は、 普通の人ではなかった。
制服の下から伸びる白い毛の塊、
頭の上から生えた三角の物体
そう彼女は 『人』 ではなかった。
「ねえ、 天ちゃん。自分の尻尾じゃだめなの?」
被写体の女の子がつらそうに友人に聞く。
「えーーだって、 自分のだったら見ながら描けないじゃない ・ ・ ・ ・
それに、 あたしが書きたいのは、 みいちゃんみたいな、 ふさふさ系の尻尾なの
ああ、 いいよね~。あたし、 尻尾の毛が短いから、
毛の長いのあこがれちゃう」
「そっかなぁ、 あたしは、 毛の長いのあんまり好きじゃないよ。
夏は暑いし、 結構ゴミとかついちゃうし、
それに、 毛足の短い尻尾の方が猫っぽくない?」
「え~。毛の長い方がいいじゃん。だって高級種って感じで、
なんとなくかっこいいじゃん。」
「そうかなぁ~。」
彼女の感情をあらわしてか、 頭から生えた耳が、
伏せるように下を向く。
「あ、 だめ、 耳はピンとしたままね。」
髪から、 目を離さず時折姿をみながら、 鉛筆を走らせる。
「で、 ・ ・ ・ ・ でも、 ふにゃ、 ・ ・ ・ ・ にゃーお」
その状態が辛いのかついつい、 人ではない声が出てしまう。
「だから、 尻尾はこの位置だってばあ」
と、 ゆらゆら揺れる尻尾を思いっきり掴む。
「ヒニャアア、 ああ、 だめ、 い、 今しっぽ。敏感になってるから触っちゃ、 いにゃあん」
「ね、 大丈夫、 あとちょっと、 ホント後ちょっとだから。」
「もう、 だめだにゃああ ・ ・ ・ ・ ・ ネコにもどっちゃうニャアアアン。」
そういうと、 頬から、 白い髭は 3 対伸び、
顔や腕に白い毛が覆っていくと、
爪が鋭く。
瞳孔が三日月形になり、 白目の部分が少なくなり、
虹彩の割合が大きくなっていくと。
白い歯が鋭い牙になり、 口元が前方に移動すると
「ニャアアアアアオオオオオ!!!!」
喉からでてきた声は人のそれでなくネコのものになっていた。
獣人の基本的な変身は、
完全に人と同じ姿をした 『人間態』
全身を獣の毛で覆い、 頭髪などの一部人の姿を残し
二本歩行が可能な 『半獣態』
そして、 完全な獣の姿になる 『完全獣態』
の 3 つがある。
形態としてこれらは安定しており、 一度ここにおちつけば、
たとえ眠ってしまっても、 その姿を維持する事ができる。
いまの彼女の姿 猫耳などの姿は、
どちらかといえば、 ちゅうと半端で無理な姿、
狙ってやるには、 それなりに練習が必要だし、
なによりそれを維持するのはむずかしい。
「あーあ、 半獣になっちゃったか ・ ・ ・ ・ ・ 」
「ま、 いっか、 そっちの絵もかきたいからポーズとって?」
「フニャアアアアンン!!」
(もう勘弁してぇ)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
散々友達をもて遊び、 作品を仕上げた彼女。
友人が帰った後で、 今度は別の作業に映る。
「さあーて、 じゃあ、 あたしも ・ ・ ・ にゃーーーーーーお!!」
手を握り、 手首を 90 度に曲げて、
顔の横へ持っていく。
いわゆる招き猫のポーズを取った少女の体を、
黒と、 白、 そして茶色の三色の毛が覆っていく。
鳶色の瞳が青く輝き、
頭からは三角の耳がピンと立ち、
お尻からは尻尾が顔を出す。
セーラー服を来た人間大の三毛猫は、 カメラに向かってポーズをとり再び
「ニャアアアアアアアオオオオオオ」 となく。
彼女が大きく口を開け、 牙と舌が見えた時
カシャッ!!!
デジカメのシャッターの切れる音
別に写真なのだから鳴き声を上げる必要はないのだろうが ・ ・ ・ ・ ・ 。
「フニャアアアアアアアアアン!!!」
(うーーん。やっぱりこの表情がかわいいよね。」)
そのまま、 デジカメ口で咥えて机の上におき、
ケーブルでパソコンとつなぐ。
猫手の爪でカチリとパソコンの電源スイッチを押し、
起動したパソコンに向いうと
爪を伸ばした猫の手で起用に
パスワードを入力する。
一見打ちにくそうに見えるが、 本人は手元も、
見ずにキータイプを続けていく。
「フニャアアアアアン♪」
(なんかこっちの方が、 人間の時より打ちやすい)
猫手のまま、 マウスを操作し、 キーボードと同じように
爪でクリックした。
開いたデータ領域には、 いくつもの招き猫のポーズをとった猫人間。
そのうちの一枚を選び、 ハードディスクにコピーする。
「ニャア」
(今日はこれにしよ。)
パソコンのディスプレイに表示されたアイコンをクリックし、
現れるブラウザウインドウ。
そこに映っているのは、 半獣の女の子が
招き猫のように片手を上げている写真。
ブログと呼ばれる
インターネット上の日記には、
彼女自身の写真が張り付いていた。
そのコメントと呼ばれる
閲覧者からの感想欄には、 いくつかの書込みが。
ZZZZ : NEKO たん萌え~です。ネコちゃんかわゆい。
NNNN : このスーツ、 本物みたいですね~。かわいいですぅ。
一つ一つチェックし、 返信を返す彼女。
NEKO : >ZZZZ さん。ありがとうにゃ~。あたしもこの毛並み気に入ってるんだにゃあ。
>NNNN さん。何言ってるにゃあ、 これは本物に決まってるにゃ。(笑)
「ニャア、 ニャニャウナ、 ニヤアアアオ!!」
(やばいにやぁ、 猫の姿のままだとどうしても、 にゃあとか書きたくなっちゃう。)
彼女の Web サイトの常連といわれる者たちも、
まさかこれが本物の画像とは思うまい。
コメントを書き終えた彼女は、 今日の分の日記を書き込んでいく。
招き猫娘の写真がブログページのトップを飾り、
一度読み直してから、 作業を終える。
すると、 『ピロ~ン』 と言う音と一緒に
彼女のパソコン画面の左下に吹き出しが現れる。
『MII >はろ~、 天ちゃん。』
「フニィ、 フニャアアアアア!!」
(ああ、 みいちゃんからだ ・ ・ ・ ・ )
登録した友人に電話を掛ける様な要領で
短い文章のやり取りを行うメッセンジャーソフトだ。
MII というインターネット上のあだ名、 ハンドルネームは、
さっきまで彼女の家にいた友人の物だ。
『ニャーーーーン!!!』
天が打ち込み、 Enter キーを押すと、
『天 : ニャーーーーン!!!』
とソフトには、 天の発言として、 表示される。
『MII : ニャアアア!!!』
すぐに、 彼女からの返信が帰ってくる。
どうやら、 天に合わせてくれたみたいだ。
「ニャ~ン、 ニャニャナナナニャーーーン!!!!」
(えっと、 どうしたのかにゃああ?)
ついつい、 書いている内容を言いながら打ち込んでしまう。
しかし、 今、 猫のままの彼女が打った文字は、
『天 : ニャ~ン、 ニャニャナナナニャーーーン!!!!』
「フニャ、 フニャニャ!!!」
(やば、 言ったとおりの打っちゃった。)
『MII : ・ ・ ・ ・ ・ 天ちゃん。ひょっとして猫に戻ってる?』
さすがに友達にもすぐの状況がわかったみたいだ。
『天 : ううう、 ばれたニャア ・ ・ ・ ・ ・ ・ 』
『MII : 人間になってから打ったら?、 猫語を活字にされてもわかんないから。
って言うかよく猫のまま、 パソコン仕えるよね。』
確かに、 猫の言葉を 『人間の活字』 に置き換えた所で意味などわかるはずもない。
『天 : にゃははは、 でも一度猫に戻っちゃうと、 人間になるのが面倒くさくて ・ ・ ・ ・ 』
『MII : まあ、 その気持ちもわからないでもないけど ・ ・ ・ ・ ・ ・
あたしも家にいるときは大抵、 猫の姿だし。』
『天 : でなんのようだったけニャン!!』
『MII : もお、 天ちゃんのせいで忘れちゃったじゃない。
来週のイベント話よ。』
彼女達が参加するのは、 動物のコスプレイベント
『天 : 久々にお天道様の下を堂々と猫の姿で歩けるのは、
楽しみだニャ。』
参加者は人間達が着ぐるみや、 メイクで思い思いの動物に変身する
なかなか本物志向もの少なくなく、
その中に混じって幾人か
本物の獣人が紛れ込んでいる事に気が付くものなどいないだろう。
『MII : そうだね。それに人間にばれちゃうかな~ってスリルもあってちょっと
楽しいよね~。』
『天 : そうそう、 でもこのイベントに来てる人なら、 気持ち悪がったり、
怖がったりしないで、 逆にうらやましがられそうじゃない。』
『MII : そうね。ヒロインになれるかも。』
『天 : (笑)』
話に盛り上がった少女達の 『会話』 は、 途中、
食事や、 お風呂で中断されながらも、 深夜まで続いていく。